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M&A AdvisoryFractional CFO
EVブリッジ(EVから株式価値への調整)
Enterprise Value Bridge
読み: いーぶいぶりっじ
定義
EV ブリッジ(Enterprise Value Bridge)は、事業全体の値段である**企業価値(EV)と、株主だけの取り分である株式価値(Equity Value)**の間を橋渡しする調整。DCF や EV/EBITDA は EV を出すため、株主価値・1 株あたり価格に落とすにはこの橋渡しが必須。
株式価値 = EV − 純有利子負債 − 非支配株主持分 − 優先株式 + 非事業資産
- 純有利子負債を引く:買収者は事業とともに負債を実質引き受け、手元現金は受け取る(純有利子負債 = 有利子負債 − 現金・現金同等物)
- 非支配株主持分(NCI)を引く:分母 EBITDA が連結ベースなら EV も連結全体の価値。子会社の外部株主分は株主価値から除く
- 優先株式を引く:普通株主より先順位の請求権
- 非事業資産を足す:遊休不動産・投資有価証券など、事業 CF に含まれない価値
数値例
EV = 1,000 億、有利子負債 200 億、現金 50 億、NCI 20 億、優先株 30 億、非事業資産 100 億のとき:
株式価値 = 1,000 −(200 − 50)− 20 − 30 + 100 = 1,000 − 150 − 20 − 30 + 100 = 900 億
発行済株式数 1 億株なら 1 株あたり 900 円。
コンプス作成でも同じ橋を逆向きに使う
類似会社比較では、上場会社の株式時価総額から EV を組み立てる(逆方向):
EV = 株式時価総額 + 有利子負債 − 現金 + NCI + 優先株。例:時価総額 500 + 200 − 50 + 20 = 670、EBITDA 100 なら EV/EBITDA = 6.7 倍。
現金の控除を忘れると EV = 720、倍率 = 7.2 倍となり、それだけで 0.5 倍ずれる。コンプス間で扱いが揃っていないと、どれだけ倍率選びを丁寧にやっても比較は壊れる。
実務上の落とし穴
- 現金の控除忘れ・NCI/優先株の足し忘れ
- 有利子負債にリース負債を含めるか(会計基準で扱いが変わる)
- 年金債務・偶発債務など「負債類似項目」の扱いを全社で統一