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M&A Advisory
公開買付(TOB)
Tender Offer Bid (TOB)
読み: こうかいかいつけ
定義
公開買付(Tender Offer Bid, TOB)は、上場会社の株券等を、市場外 で 不特定多数の株主 から 一定価格・一定期間・一定数量 買い付ける方法。金融商品取引法 第 27 条の 2 以下に規定された手続きで、TOB 開始時には公開買付届出書を提出し、買付期間中の応募状況を一般株主に公開する。
「不特定多数 + 市場外」の組み合わせが TOB 規制を発動する核心。少数の特定相手からの相対取引は TOB 規制対象外。
TOB が義務化される主要場面
令和 6 年金商法改正(2026 年 5 月 1 日施行)により、義務化の閾値・対象が見直された。閾値・適用除外の全体像は 30%ルール(公開買付規制) を参照。
- 市場内外を問わず 30% 超を取得する場合(改正法第 27 条の 2 第 1 項第 1 号)。改正前は「市場外・立会外で 3 分の 1 超」が閾値だったが、閾値が 30% に引き下げられ、従来は対象外だった 市場内取引(立会内) も新たに取り込まれた
- 市場外取引で多数の者(60 日間に 10 名超)から 5% 超〜30% 以下を取得する場合(同項第 2 号、いわゆる 5% ルール)
- 発行者自身の自己株式公開買付(不特定多数の自社株主からの買付)
なお、改正前に存在した「急速な買付け等」の規制(3 ヶ月以内に 10% 超を取得し、うち 5% 超を市場外/立会外で取得して 3 分の 1 超に達する場合の TOB 強制)は、立会内が 30% ルールの対象となったことに伴い削除され、大量保有報告制度 による開示で透明性を確保する建付けに一本化された。
TOB の主な類型
| 類型 | 主体 | 性質 |
|---|---|---|
| 友好的 TOB | 戦略的買収者・PE ファンド等 | 対象会社取締役会の賛同を得て実施。日本の TOB の大半 |
| 敵対的 TOB | 同上 | 対象会社取締役会の反対を押し切って実施。買収防衛策との対峙 |
| MBO(経営陣による買収) | 対象会社経営陣 + PE | 上場廃止・非公開化目的。利益相反管理が中心論点 |
| 自己株式 TOB | 発行会社自身 | 自社の流通株を市場外で買い戻す。資本政策手段 |
実務上の論点
- 公正性担保措置:対象会社取締役会は特別委員会の設置、独立 FA の起用、複数の株式価値算定書取得、MoM(Majority of Minority)条件の検討等で公正性を担保する。経産省 「企業買収における行動指針」(2023 年 8 月 31 日) が原則論を整理
- 3 分の 2 ルール(全部勧誘義務・全部買付義務):買付け等の後の株券等所有割合が 2/3 以上となる場合、対象者が発行する全ての株券等を勧誘対象とし(全部勧誘義務)、応募株券等の全部を買い付ける必要がある。この 2/3 の閾値は改正後も維持されるが、当局の承認を得た場合に全部勧誘義務を免除する新ルートが設けられた
- 大量保有報告制度との連動:TOB 開始は 大量保有報告書 で「経営支配権の取得」を保有目的として明示することと併せて行われる。改正後の 重要提案行為等 範囲明確化の影響も受ける
- クリアランス取得:海外 PE 主導のクロスボーダー TOB は各国競争法・安全保障規制のクリアランス取得に時間を要し、TOB 開始から成立までのスケジュールが複数回後ろ倒しになるケースが頻発