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M&A AdvisoryCapital Strategy

共同保有者

Joint Holder

読み: きょうどうほゆうしゃ

定義

共同保有者は、金融商品取引法 第 27 条の 23 第 5 項および同施行令の規定により、複数の株主が「共同して株券等を取得・譲渡・行使する合意がある」と認定された場合、それぞれの保有を 合算 して大量保有報告制度上の保有比率を判定する仕組み。合算により単独では 5% 未満でも報告義務が発生し得る。

「合意」は明示的なものに限らず、外形的事実から推認される 黙示の合意 も含み得るため、実務では「どの程度の連携が共同保有と認定されるか」の grey zone が広く存在してきた。

令和 6 年改正による対象範囲の再編

改正前は配偶者の保有まで合算対象としていたため、創業家ファミリーが「夫婦合算でみなし大株主」になるなど不合理が指摘されていた。改正は 「形式的な家族関係」より「実質的な支配の経路」を重視する方向 に整理した。

関係改正前改正後(2026-05-01 施行)
夫婦関係(配偶者)合算対象除外(公開買付制度との整合性のため)
親子・親族関係合算対象合算対象(継続)
支配関係(親子会社等)合算対象合算対象(継続)
代表者兼任原則対象外新規対象(一方の代表者が他方の代表者でもある関係)
資金供与原則対象外新規対象(株券等取得資金の供与者と受領者の関係)
譲渡目的取得原則対象外新規対象(株券等の譲渡目的での取得要請に応じた者との関係)
重要提案行為要請原則対象外新規対象(重要提案行為の実行を要請した者との関係)

出典:金融庁「重要提案行為等・共同保有者に関する法令・Q&A 等の整理」(2025 年 8 月 26 日)

協働エンゲージメント適用除外

改正の同時施策として、機関投資家どうしが議決権行使等で連携しても、以下 3 要件をすべて満たせば共同保有者と認定されない仕組みが導入された:

  1. 主体要件:連携する両者がいずれも金融商品取引業者等(証券会社・投資運用業者・銀行・信託会社・保険会社等)であること
  2. 目的要件:共同して 重要提案行為等 を行うことを合意の目的としないこと
  3. 合意の範囲要件:個別の権利行使ごとの合意に限定(株主総会単位+対象議案の明確な特定+議案に対する賛否の事前決定の 3 点セット)。包括的・継続的合意は対象外

この適用除外は スチュワードシップ・コード が想定する協働エンゲージメントの法的萎縮を解除する目的で設計されている。

実務上の論点

  • M&A 取引における共同保有者判定:買収ビークルと既存大株主、創業家と取引先などの関係を、改正後の 4 類型に照らして点検する必要がある
  • 取締役会の「みなし共同保有者」リスク棚卸し:主要取引先・持合先・役員派遣先との関係を、代表者兼任・資金供与等の観点で再評価
  • 海外ファンドの戦術選択:協働エンゲージメント適用除外は主体要件で日本の金商業者に限定されるため、海外ファンドは依然として共同保有規制下に置かれる

関連用語