← Glossary
M&A AdvisoryFractional CFO
WACC(加重平均資本コスト)
Weighted Average Cost of Capital
読み: だぶりゅーえーしーしー
定義
WACC(Weighted Average Cost of Capital, 加重平均資本コスト)は、負債コストと株主資本コストを、それぞれの資本構成比で加重平均した割引率。DCF 法において、将来フリーキャッシュフローを現在価値に割り引く際の基準レートとして用いられる。
WACC = E/(D+E) × Re + D/(D+E) × Rd × (1 − t)
- Re(株主資本コスト)— 通常 CAPM(資本資産価格モデル)で算定: Rf + β × (Rm − Rf)
- Rd(負債コスト)— 借入利率、または格付けに対応する社債利回り
- t — 実効税率
- D, E — 有利子負債と株主資本の市場価値ベースの金額
実務上の算定論点
日本公認会計士協会 「企業価値評価ガイドライン」が CAPM を標準的な株主資本コスト算定手法として位置づけている。一方、ガイドラインは各パラメータの設定に幅を認めており、この幅の取り方で評価額が大きく変わる。
CFO・経営者視点での論点
- ベータ値(β)の選定が最大の論点。非上場企業では類似上場企業のレバードベータをアンレバーし、対象企業の資本構成でリレバーする手順を踏むが、類似企業の選定自体が評価結果を支配する
- マーケットリスクプレミアム(Rm − Rf) は 5〜7% の幅で実務が分かれる。Duff & Phelps(現 Kroll)や Ibbotson 等の外部データを参照するが、どの時点・どの市場のデータを使うかで数字が変わる
- 資本構成ウェイトは目標資本構成(ターゲットキャピタルストラクチャー)を用いる。現在の負債比率が極端な場合(過大負債・過少負債)、そのまま使うと WACC が歪む
- ハードルレートとしての WACC。CFO が投資判断で使う場合、WACC に事業リスク調整を上乗せするのが通例。プロジェクトリスクが事業全体より高ければ WACC + α を用いる